unerfahrenの隔離部屋パソナルーム アルコール依存症との闘い


医師からの宣告
内科医は深い溜息を吐いた。
そして、本気で激怒した。

「蒼境さん。貴方は立派なアルコール依存症」
「嫌酒薬を服用しても止められないなら僕にできるのは、久里浜の医療センター(TOKIOの山口氏が入院してる所)を紹介する位しかないよ」
「依存症というのは、本当に難しいの。専門の先生による治療をしっかり受けないと、5年後の未来は見えないよ」

と文字通り斬って捨てられた。

しかし1年前に僕が診察に来て、その後、即飲酒を再開して、しかもどこからか嫌酒薬を調達しても飲酒を続けたのを知った先生は、何度も深い溜息を吐きながら、
最終的に車で30分掛からない場所にあって、内科医と個人的な知り合いでもある精神科医に紹介状を書いてくれた。

こんな僕に、車で2時間もかかる久里浜医療センターを紹介してもきっと行かない、と判断したのだろう。

翌週。
会社はフレックスにして朝から市立病院に行った。

1時間ほど受付で待たされ(紹介状をカルテに移すのに時間が掛かったらしい)、精神的にぐったりした状態で精神科があるエリアに移動した。
先生は一通り血液検査の結果と、内科医の先生の紹介状を見た後、僕に言った。

「間違いなくアルコール依存症です」
「γ-GTP始め血液検査の結果がここまで悪いと、このまま飲み続けたら2年で死にます」
「僕がアメリカ留学に行く前、同じ様な状態の患者さんを何人も診てた」
「僕が『酒止めないと死ぬよ』と宣告しても『死んでも飲む』と言ってた患者さんは、2年間のアメリカ留学から帰国したらほぼ全員死んでたよ」

ぶっちゃけ、重い。
リアル体験に基づいた宣告だけに、鉛よりも遥かに重い……プルトニウム級に重たい宣告だった。

どよーんと澱んだ空気が滞留する。

この時、健康診断の結果を貰ってからちょうど1週間。
僕は何とか我慢して、酒を飲んでない事を伝えた。

すると先生は、

「本当?! ならまだ望みはあるよ! うんうんこのまま断酒ね!」
「貴方はもう一生酒を飲んではいけません。そうすれば寿命まで生きられるよ」

と無邪気に笑いだした。
やはり「酒を止められるか否か」が分水嶺なのだと言う。
アルコール依存で訪れる人は、医師が何を言っても、血液検査の結果がどんなに悪かろうと、なにかしら自分に理由をつけて飲んでしまう人が圧倒的に多いのだそうだ。
僕が1週間酒を絶ててる、というのは何物にも代えがたい希望だったのだ。

そんな訳で、今後の治療方針を具体的に話し合った。
おおまかに箇条書きすると、

  • 禁酒じゃなくて断酒ね。貴方はもう一生、酒を飲んではいけません。
  • 飲まなければ、血液検査の結果は劇的に改善します。
  • でもそれで安心して一口飲むとそこからずるずると飲酒量は増えます。間違いなく増えて今と同じか今より悪い状態になります。
  • それを何度か繰り返す頃には肝硬変、肝癌、その他何かしらの致命的な病状になって余命が確定します。
  • だからもう酒は諦めてください。
  • どうしても飲みたくなったらいつでも来てください、一時的に抑制する薬もあります。
って感じだった。
要約するとあぁもう酒を飲めないんだなぁと呑気に思った。
先ほどの宣告が重すぎて、脳が麻痺しているのだろう。
悲しいとか、悔しいとか、人間らしい感情は一切湧かず、ただひたすら「酒飲めないのかぁ」と脳内で繰り返すだけだった。

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